日本の伝統的な格闘技で、1909年に国技BUT4に制定されました。古代には農耕儀礼や神事として行われていたため、現在も儀式的な要素を多く含んでいます。相撲の試合では、まわしのみを身に付けた2人の力士が土俵に上がり、一方が土俵から出るか、足の裏以外の体の一部が地面につくまで戦います。日本相撲協会が大相撲の興業を年6回行っており、その模様はテレビやラジオでも中継されます。 1960年代からは大相撲の海外巡業もしばしば行われており、『スモウ・ワールド』という英文相撲雑誌も世界各国で愛読されるなど、大相撲人気は国際的なものとなっています。また、近年は外国人力士の活躍も目立っています。
力士は土俵に上がると、土を踏み固める動作を繰り返します。これは力士が下半身を鍛えるための重要な基本動作で、四股といい、稽古の前後にも繰り返し行われています。 しかし、四股は単なる準備運動ではありません。日本には古来、大地を踏んで地の邪気を払い、正気を招き寄せるという信仰があり、力士が四股を踏むのも、地にひそむ悪霊を踏みつけるという神事に由来しているのです。
仕切りとは力士が土俵で相対し、勝負開始前に戦う姿勢を構えることです。相撲では一瞬の立ち合いが勝負を決定するため、阿吽の呼吸が合わないときは何回でも繰り返します。入念な仕切りを繰り返し、気合いが充実したところで勝負に入るのです。かつてフランスの詩人、ジャン・コクトーは、立ち合いの阿吽の呼吸をバランスの奇跡だと絶賛したこともあります。
力士の地位の最高位です。横綱の力士が化粧まわしの上に締める縄も「横綱」といいますが、これはしめ縄が変化したものです。大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績を挙げた者だけが横綱になれます。200年余りの歴史を持つ大相撲ですが、横綱に昇進したのはたった64人(1993年8月現在)と、非常に狭き門です。1993年には米国人の曙が第64代横綱に昇進し、初の外国人横綱が誕生しました。
身の清らかさを示したり、土俵の神に正々堂々と戦うことを誓ったりする意味で、大相撲では十両以上の力士は取り組み前に土俵入りという儀式を行います。十両・幕内力士は番付順に土俵に上がり、円陣を作って行いますが、横綱は太刀持ちと露払いを従えて登場し、1人ずつ行います。特に横綱の土俵入りでは各横綱の個性が表れ、それぞれに豪華で迫力あるパフォーマンスが見られます。
大相撲では、各部屋の力士同士が戦って勝負を競います。そのため力士は必ず相撲部屋に所属し、師匠である親方のもとで毎日稽古します。師匠と弟子の強固な関係をタテ軸に成立しているのが相撲部屋で、昔の封建社会の人的結合形態と似たところがあります。番付の位が下の者は、上の者の付き人となって世話をしたり、ちゃんこ鍋を作ったりします。親方夫人である部屋のおかみさんは、対外交渉をしたり母親代わりになって力士の面倒を見たりと、大きな役割を果たしています。なお、相撲部屋に所属するのは力士だけではありません。行司や呼び出し、床山のほか、巡業での進行や力仕事をする人々などがいる部屋もあります。
柔道は日本の代表的な格闘技の1つです。100年ほど前、嘉納治五郎が古来から伝わる武術を改良し、講道館柔道を創始したことが基礎となって、スポーツとしての柔道に発展したのです。相手の力と体重をうまく利用して倒すのが柔道の特徴で、技は投げ技と固め技の2つに大別されます。 選手のしめる帯の色は、各人の力量を示す級位や段位を表します。例えばいちばん下の5級は白帯、初段から5段までは黒帯、9段から最高位の10段は赤帯といった具合です。 柔道は第2次大戦後は欧米各地にも普及し、オリンピックの正式種目にもなっています。また、1951年創立の国際柔道連盟には152ヵ国が加盟しています(1992年8月現在)。
剣道はフェンシングとよく似ています。もともとは武士の訓練として広まったのですが、江戸時代(1603〜1867)中期から今のような形式になりました。剣道の試合では、2人の対戦者は 鎧 に似た防具を身につけ、竹刀を使って戦います。相手の頭、胴、小手のいずれかを打ったり、のどを竹刀で突いたりし、それが決まれば得点となります。試合の制限時間は5分で、3ポイント中2ポイントを先取した者が勝ちです。 心身を鍛えられるスポーツとして海外でもよく知られており、1970年創立の国際剣道連盟には、31ヵ国が加盟しています(1992年8月現在)。
空手は中国の拳法と沖縄の武術とが組み合わさって完成され、護身術として発達してきました。武器を使わず、こぶしやひじ、足などを使って戦います。基本戦法は突き、守り、蹴りとひじうちです。 空手の試合は、「組手」と「型」の2種類に分けられます。組手試合では、有効な突きや蹴りの技を仕掛けると得点になるのですが、実際の攻撃は相手の身体に当たる寸前でやめなければなりません。型試合では、1人または団体でさまざまな技の組み合わせを披露します。このときは技の正確さや姿勢、気合いなどが判定基準となります。空手では強さだけでなく、精神面も重視されているのです。
合気道は、数多くの古流武術を修業した植芝盛平(1883〜1969)が大正年間に創始した武道です。敵を倒すことを目的とせず、相手と和することを旨とする武道で、精神的修養を重んじます。当初は一部の弟子や富貴層にしか教授していませんでしたが、戦後は一般にも教授をし、全国に普及しました。海外にも愛好者が多くいます。合気道の基本技は、老若男女を問わず無理なく習得できるようになっています。また、合気道は、勝敗をつけないという思想を持つため、他の現代武道と異なり、試合を一切行いません。精神修養に効果的なのはもちろんですが、現在では生涯学習や健康法の一環としても普及しています。