日本の祭りは大きく2つに区分されます。伝統的に行われている祭りは、神道の神と人間とが特定の日に儀式にのっとった交渉を行うことです。これはさまざまな民間信仰も交ざっているため形式はいろいろですが、神社があれば日本のどの地域でも必ず行われています。一方、伝統的な祭りが地域住民のすべてが参加して日常とは別の空間を現出することから、似たような形になる記念・祝賀のための集団的な行事も、あえて「祭り」というようになりました。さらに、一定の人数が集まってにぎやかな空間が作られれば「祭り」となり、また集団的な恍惚状態になるようなときには、これを「お祭り騒ぎ」というのです。
北海道は、日本列島を構成する主要4島の中で最も北にある島です。その北海道の中心地・札幌は冬期五輪が開催された街でもありますが、冬は雪祭でも有名です。これは神をまつる伝統的な祭りとは違い、第2次大戦後に行われるようになった雪像の祭りです。毎年札幌の大通り公園で行われ、海外からの観光客も含めて数十万人の見物客が集まります。
自衛隊を初めとする大きな組織から市民個人まで、多くの人が参加して雪像を作ります。城や怪獣など巨大な像は、市外から大量の雪を運んで何週間もかけて作られ、人々の人気を集めています。
北国の夏は短い。その短い夏に激しい情熱を発散する祭りが、東北で行われるねぶた祭です。そもそもは七夕の行事として行われていたもので、極彩色の武者絵などを大きな灯篭に描いて街中を引き回しますが、その灯篭の周囲に、多い場合は数千人も集まって踊りながら一緒に街を回ります。このねぶたが多いときで60台が出ますから、その人出と熱気にはすさまじいものがあります。8月1日から7日にかけて東北地方の青森市、弘前市を中心に行われています。近年の観光客数は330万人が記録され、海外の祭りにも参加するので、日本を代表する祭りの1つといえるでしょう。(注:弘前市では「ねぷた」といいます)
青森のねぶた祭、仙台の七夕祭とともに東北三大祭りの1つで、8月3日から6日にかけて秋田市で行われます。「夏になると、暑さと激しい労働のために睡魔に襲われ、眠り病にかかる」と信じられていた時代に、その睡魔を追い払うために、灯篭付きの杉の木を門前に立てていたのが竿灯祭の起源です。現在では農作物の豊作を祈って、竿灯は稲穂を型どり、高さ10メートルの竹竿に9本の横棒を付け、それに多いもので46個のちょうちんを付けます。このような竿灯が180本も連なり、夜の街を埋めつくします。
東京の三大祭りの1つ。5月の半ばに浅草神社の祭礼として行われます。江戸(今の東京)の祭りは、みこしを数十人でかついで街々を巡る渡御が主体です。この三社祭は、浅草という伝統的な町並みの中で、各町内会のみこしが数十基と大きなみこし3基が勇ましく練り歩くことで人気があり、毎年数十万人の見物人を集めています。神社の境内では古式の田楽が舞われ、3日間の期間中は正月の初詣期間とともにこの街が最もにぎやかなときです。
神田生まれは江戸っ子の代表といわれるほど、神田は江戸(今の東京)の繁華街の中心でした。神田祭は神田明神で5月に行われる祭礼です。他の東京の祭りと同様、みこしの渡御が主体です。江戸っ子は威勢がよくて喧嘩っ早いといわれますが、その中でも神田祭は威勢がよく、江戸の華ともいわれました。現在は昔ほどのにぎわいは見られませんが、東京の三大祭りの1つとなっています。
京都の祇園祭、飛騨高山の高山祭と並んで日本三大曳山祭として有名で、300年以上の歴史があります。12月2、3日に埼玉県秩父神社の祭礼として行われます。笠鉾2台と屋台4台が山間の寒い夜の街を巡ります。6台にはすべて無数のちょうちんやぼんぼりが灯され、にぎやかに花火が打ち上げられて冬の夜空を彩り、その美しさに数十万人の見物客は酔いしれるのです。
京都の八坂神社の毎年7月17日〜24日まで行われる豪華絢爛な祭礼です。もとは平安時代(794〜1185)初期に疫病をなだめるためにまつられた神社で、初め疫病を退散させるために6メートル余りの鉾数十を立てて祭礼を行いました。この鉾がいろいろに飾り付けられ、江戸の祭りが勇壮なみこしが中心であるのに対し、こちらは豪華絢爛な鉾が有名です。この鉾は2階建てになっており、上では伝統的な伴奏楽器をつかったお囃子がにぎやかに演奏されます。7月になるとこのお囃子の稽古が街々で行われ、京都に夏が来ることを人々に印象付けるのです。
5月3、4日に九州博多で行われる櫛田神社の祭礼です。「どんたく」とはオランダ語のZontagがなまったもので「日曜・休日」の意味です。神社から稚児が乗った曳台が出発し、馬に乗った恵比寿・大黒・福禄寿の3福人が続きます。多数の傘鉾や趣向を凝らしたさまざまな山車がこれに続き、街々を練り歩き、要所では稚児が舞を舞います。三味線や鼓などで松囃子がにぎやかに演奏されて祭りの雰囲気を盛り上げます。この松囃子は、800年前に、当時の領主、平重盛に感謝するために始められたといいます。