日本語は言語学的にどの語族に属するかについては定説がありません。英語やフランス語が属する印欧語族とは全くその構造を異にするため、西洋から見れば習得は難しい言語と言われています。
日本語は長期間、比較的安定した共同体の中で形成されてきました。そのため成員同士が既知の事柄についてはあえて発話しなくても理解できるので、発話のある部分を省略する形式が発達しました。また相手に自分の言いたいことを察してもらうことも期待できるため、断言する形式は忌避されます。これが時に西洋人からは、日本人は自分の意見をはっきり言わない、という誤解につながるようです。
現在の日本語は、3種類の文字から成り立っています。すなわち、表意文字としての漢字及び表音文字の平仮名と片仮名です。もともと日本語には文字がなかったのですが、5世紀ころに漢字を使って記録するようになりました。その漢字を日本人は日本語風に読むことを考えだし、さらに漢字を基に表音文字を作り出したのです。このような文字の基礎が確立したのは平安時代(794〜1185)で、この文字のおかげで世界最古の長編小説『源氏物語』も紫式部によって完成されました。現在、片仮名は主に外来語を表すのに使い、漢字と平仮名で文章をつづります。また、ローマ字を含めた表音文字のみで表記することも可能です。
現在世界各国、特に環太平洋地域では日本語の教育が盛んです。その理由は日本人と接触し、会話する必要が増えたからにほかなりません。
1980年代の後半から急激に日本語学習者が増えたため、教師や教材の数が不足しています。そのため、日本側も日本語の教科書を寄贈したり教師を派遣したり、各国に対してさまざまな支援を実施しています。来日する外国人も増え、国内の日本語教育施設もまた増えつつあります。日本語能力試験が、1984年に初めて実施されました。日本国内及び世界各国で受験することができます。1992年には受験者数が68,496名となっています。
日本語では敬語が著しく発達し、これを日本語の特色のひとつに数える見方もあります。しかし敬語は日本語だけでなくアジアの多くの言語、中国語、韓国語、ヴェトナム語、タイ語、ビルマ語、ジャワ語などにも発達しています。これらに共通するのは、相手には尊敬語を使い、自分については謙譲語を使うことです。この敬語は社会的な場面で誤って使うと相手に失礼になり、また教養がないとみなされるので、注意を要します。日本語の敬語でさらに注意を要するのは、話す相手によって尊敬か謙譲かが変わることです。例えば自社の社長について社内で話せば尊敬語を使いますが、社外の人間には謙譲語を使うのです。
日本は各地方が山岳地帯にさえぎられているため、各共同体が簡単に往来することができず、それぞれ独自の方言が発達しました。例えばラテン系の言語の中でフランス語とスペイン語は非常によく似ていて、それぞれラテン語の方言ということも可能ですが、日本語の方言もそれに近い違いを持っている場合があります。かつては東北地方と九州地方では互いにことばを通じさせるのが非常に困難だった時代もありました。そのため近代になってから、主に東京のことばを基準に徐々に共通語が形成されました。しかし、方言はその地域の文化を担っているので、むしろ最近はそれを大切にする運動が起こっています。