歌舞伎

日本の代表的な伝統演劇の1つで、1603年ごろ出雲大社の巫女・阿国が京都で念仏踊りを興行したのが初めとされています。人気が出ましたが、女性の歌舞伎は風紀を乱すと禁止され、以後は男性のみで演じられるようになりました。その後次第に技芸本位となり、演劇、舞踊、音楽の集大成ともいうべき総合芸術として完成されました。女性役も男性が演じる、隈取りという派手な舞台化粧をする、舞台装置に独自の工夫がなされているなどの特徴があります。第2次大戦後はヨーロッパやアジア、アメリカなど海外公演も盛んになり、ヨーロッパ歌舞伎会議やヨーロッパ日本演劇研究センターなど西洋人学者の研究組織も設立されました。




歌舞伎の舞台

歌舞伎の舞台には、いくつかの独特な装置があります。 花道は舞台の延長として客席を縦断して設けられた通路で、役者の登場・退場に使われるほか、重要な場面がここで演じられることもあります。舞台には回り舞台やセリという仕掛けがあり、幕を使わずに場面を変化させたり、役者を下から出現させたりできます。そのほかに大道具が後ろに倒れて別の場面が現れる装置などもあり、それらが緻密に計算され、効果的に使われることにより、歌舞伎の美しさ、面白さが増すのです。




能とは筋立てをもつ芸能という意味で、日本最古の音楽劇です。14世紀以降に盛んになりました。筋は「」と呼ばれる歌で語られ、役は主役であるシテと、わき役であるワキに大別されます。役者はそれぞれ木製で漆塗りの面をかぶり、豪華な錦織りの衣装を着て演じます。面をかぶらない役柄もありますが、その場合でも顔を面に見立てて演じ、顔の表情を作るようなことはしないのです。 動きも地味で、役者は感情を声に出さないため、能では人間の陰の部分が表現されるのですが、一方でその神秘的な動作と単調な音楽が「幽玄」といわれる奥深い美しさを醸し出しているのです。




能舞台

狂言の専用舞台は、屋根を支える太い4本の柱が舞台を囲み、前3方は開け放たれています。役者は橋掛りを通って舞台に現われます。 能では一切がの文句と音楽、役者の動きによって表されるため、能舞台には舞台装置が施されていません。ですから、逆に観客は自由な幻想を抱くことができ、どんな装置も及ばないような、雄大な舞台面を描き出すことも可能となり得るのです。




狂言

狂言は日本の古典喜劇で、室町時代(1392〜1573)にと同様、観阿弥、世阿弥父子によって確立されました。当初は能の合間に演じられていましたが、現在は単独で上演したり、狂言役者が能の中の役を演じたりすることもあります。 能に比べると狂言は庶民的です。面をかぶるのは一部の役柄に限られ、化粧もほどこしません。神やなど特殊な役柄を除いては15世紀の日常着が衣装となります。狂言の筋には人間肯定の精神があり、盗人なども真の悪人としては描かれません。また、能が歌舞中心であるのに対し、狂言にはせりふや劇的行動が伴うという特徴もあります。




日本舞踊

日本舞踊は15世紀ごろ、「踊」という跳躍運動を主としたものに、旋回運動を主とした「舞」と、演劇的表現の強い「振り」の要素が取り入れられて生まれたものですが、狭義の「日本舞踊」では主に歌舞伎舞踊をさします。これは1603年に出雲の阿国が興行した「かぶき踊り」から歌舞伎が誕生した後、歌舞伎をもとにして発展したもので、歌舞伎舞踊を基盤とする舞踊の流派の多くは、18世紀後半に振付師や歌舞伎俳優によって始められています。 現在は花柳流、藤間流、西川流をはじめとして100以上の流派があり、女性の稽古ごととしても広く行われています。




雅楽

雅楽とは古代に中国・朝鮮などから輸入した音楽と舞、およびそれを模倣した日本製の楽曲です。笙、ひちりき、楽箏、楽琵琶、楽太鼓など独特の楽器が使われます。宮廷音楽として平安時代(794〜1185)に栄え、寺社でも演奏されました。 雅楽には舞のあるものと舞を伴わないものとがあり、前者を舞楽、後者を管弦といいます。舞楽と管弦とでは同一の曲でも速度や楽器編成・強弱法などが異なります。現在は一般ではほとんど演奏されず、わずかに宮内庁楽部などが継承して、祝いの際に演奏するくらいです。




日本の伝統的な弦楽器です。木製で長さは約180センチ、幅は約30センチあり、右手の親指、人差指、中指に爪を付けて弾きます。13本の弦が柱と呼ばれる駒の上に張ってあり、柱の位置で音の高さが決まります。江戸時代(1603〜1867)には琴の演奏は女性のたしなみとされ、良家の娘の多くは小さいころから琴の稽古をしました。現在でも女性には多くの愛好者がいます。




三味線

バンジョーに似た形の弦楽器で、フレットのないのが特徴です。3本の弦をばちで弾いて演奏し、歌舞伎文楽民謡の伴奏に使われます。中国から沖縄を経て日本全国に普及し、独自の発展を遂げました。江戸時代(1603〜1867)以降、日本の代表的な楽器となりました。




尺八

尺八は竹製の管楽器です。長さが日本の昔の度量衡で、1尺と8寸であることからその名が付けられました。構造は竹筒に穴をあけた簡単なものですが、息の吹き込み方や唇と吹き口との間隔、指の押さえ具合などで音階や音色に微妙な変化が出るのが特徴です。西洋の笛にはない独特な音が出るため、ジャズや現代音楽にも取り入れられて、表現の幅を広げています。